皆さんこんにちは、カメちゃんです!
僕は普段、外出するときには白杖を使っています。
視覚障害者だから白杖を使う。それ自体は特別なことではありません。
でも実は、視覚障害がわかった14歳の頃から白杖を使っていたわけではありません。
初めて白杖を使って歩いたのは、盲学校1年生、18歳の春でした。
では、なぜ4年間も白杖を使わなかったのか。
そして、白杖を使うようになって約10年。
白杖があった頃となかった頃を比べながら、僕自身の体験談を書いていこうと思います。ぜひ最後まで読んでもらえるとうれしいです。
14歳の僕は「弱視では白杖を使えない」と思い込んでいた
中学生、高校生の頃の僕は、自転車こそ乗れませんでしたが、家から学校までは一人で歩いて通学していました。もちろん白杖は使っていません。
というのも、当時の僕は、
「白杖を使うのは、まったく見えない全盲の人だけ」
だと思い込んでいたからです。少し見えている弱視の自分は使えないものだと思っていました。
それに加えて、当時の僕は盲学校や視覚障害者を支援する施設の存在も知りませんでした。他の視覚障害者がどのように生活しているのか、どんなサービスがあるのかも具体的には知りませんでした。
スマホは持っていましたが、自分の障害について調べることもほとんどなく、せいぜい障害者手帳の活用法を調べるくらい。
今思えば、「圧倒的に情報がなかった」
これが学生時代の僕だったと思います。
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白杖の代わりに傘を使って通学していた高校時代
高校2年生くらいになると、一人で通学中に溝にはまったり、部活動で帰りが遅くなったりすることが増えてきました。先生からは、
「暗くなったら家族に迎えに来てもらいなさい」
と言われていました。
もちろん、それができる日はそうしていました。でも、友達と遊んだり、一緒に帰ったりしたい年頃です。何とか一人で帰る方法を身につけよとしていました。
僕が通っていたのは農業高校。学校には木材や木の枝がたくさんありました。
すると担任の先生が、どこから見つけてきたのかわからない謎の木の棒を削って、杖を作ってくれたんです(笑)その気持ちは本当にうれしかったのですが、あまりにも頼りなくて、1週間ほどで折れてしまいました。

でも、その出来事で、
「何か一本持っているだけでも安心して歩ける」
ということがわかりました。
それからは、通学用の傘を毎日持ち歩き、不安な場所では道路をツンツンしながら通学していました。雨も降っていないのに傘を持っていたので、周りから不思議がられていました。
でも、白杖を使えないと思い込んでいた当時の僕にとって、それは大切なお守りのような存在でした。

「なんで白杖を使わないの?」関西旅行で言われた一言
そんな高校生活も終わり、先輩から卒業記念も兼ねて関西旅行に行こうと誘われました。こういう行事以外での旅行は初めてだったので、本当に楽しみでした。
先輩と、その友達の3人で京都を観光しました。移動中は肩を借りて案内してもらっていました。そして人生初の嵐山へ。
今でこそ行きたいと思えば行ける環境ですが、テレビで見たあの嵐山に行けた瞬間は本当にうれしかったです。
渡月橋から見る川の景色も最高で、一人でたくさん写真を撮っていました。
たぶん、今でもスマホに残っていると思います。

京都観光を一通り楽しんだあと、3人で大阪へ移動してお好み焼きを食べに行きました。
その道中、先輩の友達がふと聞いたんです。
「なんで白杖を使わないの?」
その瞬間、「確かに!」と思いました。
見え方で使える人を絞るのはおかしいよな。というかもしかして使える?
なんて考えていました。
でも、どこで白杖を手に入れればいいのかも、どう使うのかもわからなかったので、その話はそこで終わりました。
盲学校で初めて白杖と出会った
それから2か月後、僕は盲学校へ入学しました。そこで初めて、自立支援の授業で白杖を使う練習ができることを知りました。
そして、「見え方に関係なく白杖は使える」ということも知りました。
先生に
「全盲の人しか使えないと思っていました」
と言うと
「そんなアホな!(笑)」
と笑われました。
学校の白杖を借りて、校内や寄宿舎までの道、自宅への帰り道を歩いてみました。もちろん最初はぎこちなくて、杖に遊ばれているような感じ。手首もずっと動かすので腕がだるくなりました。
視聴覚センターで歩行訓練を受けて知ったこと
白杖を使い始めて1年ほど経った頃、クラスメイトの紹介で視聴覚センターの存在を知りました。
ここでは、白杖の振り方だけではなく、
- 道路の歩き方
- 学校から駅までのルート
- 駅から自宅までのルート
など、実際の生活に合わせた歩行訓練を受けることができました。
また、道路には必ずしも点字ブロックがあるわけないですよね。そんな道路dでも歩く工夫があること教えてもらいました。ガードレールの隙間や小さな段差。僕の場合は少し見えるので、光の入り方。そうした道路の特徴を覚えながら、安全に歩く方法を教えてもらいました。
担当の先生もとても面白い人で、何往復も練習しながらいろいろな話をしたのを覚えています。
そんなこんなで、毎日のように白杖を使っていると、人間って案外慣れるものです。

白杖が僕の世界を広げてくれた
盲学校の3年間で、外出するときは必ず白杖を持つようになりました。そして、一人で行動できる範囲がどんどん広がっていきました。
家から二つ離れた街まで歩いて行ってみたり、
「中学生の頃以来、こんなに長い距離を一人で歩けたんだ」
と感動したこともあります。
そして20歳を過ぎる頃には、一人飲みまで覚えてしまいました(笑)白杖を持って、一人で居酒屋に入っていくんですもの。店員さんに覚えられるのも仕方ないですよね(笑)
そんなふうに、僕の生活に白杖は欠かせない存在になりました。

28歳になった今、もっと早く白杖を使えばよかったと思う理由
今になって思うのは、
「もっと早く白杖を使う練習をしていればよかった」
ということです。
10代の時間は本当に貴重でした。一人でうまく歩けないから。
友達に迷惑をかけるんじゃないか。そんなふうに遠慮していた時間が、少しもったいなかったなと思います。
今では通勤はもちろん、大抵の場所には一人で行くことができます。もちろん、白杖を持っているだけでは危ない場面もあります。
だからこそ、周りの人に助けを求めることも覚えました。
この記事を通して、「白杖を使うことで世界が広がること」そして、「情報を知っているか知らないかで人生は大きく変わること」が伝わればうれしいです。

白杖を持つか悩んでいる人へ
もし今、
「白杖を持とうか悩んでいる」
という人がいるなら。白杖を持つことで、「私は視覚障害者です」と周りに伝えているようで抵抗を感じる人も少なくないと思います。
むしろ、僕みたいに最初から抵抗がなかった人のほうが珍しいかもしれません。
でも、白杖を持つことで世界は広がります。
行ける場所も、できることも増えます。
その感動は、実際に使ってみないとわかりません。
この記事を読んで、
「ちょっと白杖を持ってみようかな」
そう思ってくれる人が一人でもいたらうれしいです。
さあ、僕は今日も明日も白杖を持って外を歩きます。まだ見たことのない世界に触れるために。


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