僕の仕事は鍼灸マッサージ師です。
この仕事に就くためには、次の3つの国家資格が必要です。
- あんまマッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
これらの資格は専門学校でも取得できますが、僕たち視覚障害者にとって大きな進路の一つが、盲学校です。現在は「視覚支援学校」と呼ばれる学校も増えています。
僕自身、高校卒業後に3年間盲学校へ通い、国家資格を取得しました。
ところで、皆さんは盲学校がどんな学校か知っていますか?
入学するまでの僕のイメージは、「目が見えにくい人が通う学校」「点字や白杖の使い方を学ぶ場所」くらいのものでした。
でも、実際に入学してみると、国家資格を目指す学生がいて、寄宿舎生活があり、部活動があり、文化祭がありました。
そこには、今の仕事につながるたくさんの経験がありました。

【画像案】盲学校の校舎、白杖、点字ブロックなど、学校の雰囲気が伝わる画像
盲学校については情報が少なく、進路を考えていた頃の僕も、「どんな学校なんだろう」「どんな人が通っているんだろう」と不安でした。
そこでこの記事では、実際に3年間通った僕の経験をもとに、次の内容を紹介します。
この記事で紹介すること
- 盲学校とはどんな学校なのか
- どんな勉強をするのか
- 寄宿舎や学校生活はどんな雰囲気なのか
盲学校への進学を考えている方や、お子さんの進路について情報を集めているご家族の参考になれば嬉しいです。
なお、現在は「視覚支援学校」という呼び方も増えていますが、この記事では僕が通っていた当時の名称に合わせて「盲学校」と表記します。
1.高校2年生の進路面談で初めて知った盲学校という選択肢
僕の通っていた高校では、高校2年生の学期末に進路面談がありました。
面談の前に進路希望を提出するのですが、その頃の僕には特にやりたいことがありませんでした。
なんとなく農業系の短大へ進もうかな、くらいに考えていたくらいです。
面談当日、先生からこんなことを言われました。
農業に本気で進みたいのか?農業は車の免許が必要になることも多いし、重機やトラックを運転する場面もある。今の視力を考えると、簡単な道ではないと思う。
そして先生はパソコンを開きながら、こう言いました。
こういう選択肢もあるよ。
そう言って、一つの学校を紹介してくれました。
それが、盲学校でした。

【画像案】先生と進路面談をしている様子、パソコンで学校を調べている場面
2.盲学校では国家資格が取得できる
実はその時まで、僕は盲学校で国家資格が取れることを知りませんでした。
「点字や白杖を学ぶ場所」というイメージしかなかったので、本当に驚いたことを覚えています。
先生も詳しい内容までは知らなかったため、一緒に盲学校へ連絡を取り、学校見学をお願いしました。
春休みに学校を訪れると、次のような学校の概要を教えてもらいました。
- 国家資格取得のために3年間勉強すること
- 高校卒業後だけでなく社会人も学んでいること
- 入学試験があること
その後、高校3年生になってから授業見学を2回行い、文化祭にも参加しました。
文化祭には高校の担任の先生も同行してくれて、「ここまで応援してくれるんだ」と、とても安心したことを覚えています。
学校の雰囲気もつかめてきて、「ここで3年間頑張ってみよう」と決めました。
3.盲学校に入学して知った学校生活と寄宿舎
入試に合格してからは、寄宿舎に入る準備を始めました。
自宅から通学することもできましたが、朝が苦手な僕は寄宿舎を選びました。
ちなみに入学式当日、胃腸炎になってしまい、クラスメイトより2日遅れての登校になりました(笑)。
クラスメイトは8人。
見え方もそれぞれ違っていて、全盲の人もいれば、僕のように見えにくい人もいました。
僕が通っていた頃の全校生徒は、およそ30人でした。
小学生、中学生、高校生、そして国家資格を目指す社会人まで、本当に幅広い年代の人が同じ学校で学んでいました。

【画像案】少人数の教室、寄宿舎の部屋、学校の廊下などの画像
4.盲学校ならではの自立支援とバリアフリー設備
盲学校では、自立するための工夫がたくさんありました。
校舎の中には目印となる鈴やぬいぐるみが設置されていて、全盲の子どもたちも自分で教室まで移動していました。
寄宿舎では、洗濯ももちろん自分でします。
自立活動の授業では、料理や日常生活の練習をする機会もありました。
校内には点字ブロックやスロープが整備され、ポスターにも点字がついていました。
盲学校は、勉強をするだけの場所ではありません。
洗濯や料理、校内の移動など、将来の自立につながる力を身につける場所でもありました。
5.盲学校の授業内容|国家資格取得のための勉強
授業では、先生方が作ったオリジナル教材を使って勉強していました。
僕は拡大読書器を使い、途中からはノートパソコンで授業データを見ながら学習するスタイルに変えました。
学んだ内容は、次のような分野です。
- 解剖学
- 生理学
- 東洋医学
- 経絡・ツボ
- 経営学
人の身体の仕組みから、東洋医学の考え方、将来の仕事に必要な知識まで、幅広い分野を学びました。

【画像案】拡大読書器、ノートパソコン、人体模型、ツボの教材などの画像
6.人生で一番勉強した国家試験対策の3年間
小学校から高校まで、僕は勉強が得意ではありませんでした。
でも、この3年間だけは違いました。
国家試験のために、寄宿舎でも、帰省する電車の中でも、スマホの録音データや単語帳を使って勉強しました。
暗記が苦手だったので、とにかく何度も繰り返すことを意識しました。
才能ではなく、回数で覚えた3年間だったと思います。
7.勉強だけじゃない寄宿舎生活
もちろん、勉強ばかりではありません。
自由時間にはゲームをしたり、アニメを見たり、恋愛話で盛り上がったりもしました。
下級生と遊ぶこともありました。
そういう時間があったからこそ、3年間頑張れたのだと思います。
8.盲学校の運動会・文化祭・部活動
盲学校にも運動会や文化祭があります。
目隠しをしてロープを頼りに走るリレー競技や、音を頼りにボールを探す競技など、盲学校ならではの種目もありました。
文化祭では、音楽部としてハーモニカやボイスパーカッションを披露しました。
また、来場者の方に実際にマッサージを行う機会もあり、貴重な経験になりました。
部活動では、サウンドテーブルテニスやフロアバレーボールにも参加しました。

【画像案】運動会、文化祭、音楽部、サウンドテーブルテニスなどの画像
9.臨床実習と外部実習で学んだこと
学校では、お客様を招いて施術をする臨床実習がありました。
さらに外部実習では、船で離島へ渡り、地域の方々へ施術をする機会もありました。
そこで担当した、あるおばあちゃんから、サインをお願いされたことがあります。
とても驚きましたが、それ以上に嬉しかったです。
僕の施術で誰かが喜んでくれた。
この経験が、今の仕事を続ける原点になっています。

【画像案】マッサージ実習、施術ベッド、船や離島をイメージできる画像
10.盲学校にあって驚いたもの4選
① マッサージ・鍼灸の実技教室がたくさんある
僕の通っていた学校には、実技教室が5つありました。
② 盲学校にも黒板がある
意外ですが、授業では黒板を使う場面もあります。
③ 教室が小さい
生徒数が少ないので、8人ほどでちょうどいい広さでした。
④ 音楽室にはたくさんの楽器がある
ピアノだけでなく、ギターやベース、ドラムなどもありました。
11.まとめ|盲学校は国家資格だけでなく人生を学べる学校だった
入学前の僕は、盲学校を「点字や白杖を学ぶ学校」くらいにしか思っていませんでした。
でも実際には、勉強も、部活動も、寄宿舎生活も、文化祭もあります。
普通の学校と同じように、たくさんの思い出がありました。
そして何より、今の仕事につながる大切な3年間を過ごすことができました。
盲学校での3年間は、国家資格だけでなく、人との関わり方や自立する力、仕事のやりがいを学んだ時間でした。
この記事が、盲学校を目指す人や、そのご家族が学校生活をイメージするきっかけになれば嬉しいです。
盲学校や視覚障害について知りたい方へ
今後も、盲学校での生活や国家試験、鍼灸マッサージ師の仕事、視覚障害との暮らしについて、僕自身の経験をもとに紹介していきます。
詳しいプロフィールや、僕が視覚障害と向き合ってきた経緯については、プロフィール記事もご覧ください。


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